KENWOOD プログラミングケーブル KPG-186Uの代替

KPG-186Uの代替を検討

2025年3月
 KPG-186Uは無線機とパソコンをつなぐケーブル。Windowsで動く設定用アプリは無料で提供されているのだが、ケーブルは買わないといけない。そのパソコンアプリを使わないとできない設定があって必要になったが、ケーブルがけっこういい値段なので躊躇する。
 自作できないだろうか。ネット検索するが、それらしい情報には行きつかない。断片的な情報で試行錯誤して上手くいかなくて、諦めかけたが何とかなった。結論として、このような接続で動いた。
<注意> 私の環境で上手くいっただけの無責任な情報です。一切の保証はありません。機材が壊れるなど損害があっても関知しません。

2ピン-1ピン変換で試行

 ケンウッド対応2本ピンのプログラミングケーブルは持っている。情報も多く出回っていて、初めは2ピン-1ピンの変換ケーブルで行けるんじゃないかと考えていた。いろいろやってみたが、まったくつながらない。2本ピンケーブルは中華無線機メーカー品。この中華ケーブルのUSB-UART変換はPROLIFIC製。一方、KPG-186UはSILICON LABS社のドライバをインストールする旨の説明がある。変換チップが違うとパソコンソフトは動かないものだろうか? 中華ケーブルでもPROLIFICのドライバでCOMポートは見えているから、つながってもいいように思うのだが。つながる気配が全くないので行き詰った。

光明

 SILICON LABS社のチップを使ったUSB-UART変換が数百円で売っているので買ってみた。これでやってみると動く気配があった。パソコンを操作すると無線機が反応する。しかしアプリはエラーを表示する。無線機が反応していることから、パソコン→無線機は通っているが、無線機→パソコンが通っていないと想像した。
 ケーブル結線の問題と思っていろいろやってみたがつながらない。UART側はGND/Tx/Rxの3本、無線機側は4個の電極しかない。パソコン→無線機は通っているとすれば、あとはUART側のRxをどこにつなぐかだけ。しかしどうやってもつながらない。またも行き詰ってしばらく放置した。

2線でTTLシリアル双方向通信

 時どき思い出してネット検索で情報を探していたら、ヤエスやアイコムが2線で双方向通信している事例を見つけた。そんなこと知らなかった。シリアル双方向通信は最低でも3線使うと思っていた。ケンウッドの2ピンケーブルは3線でやっているようだから、4個の電極のどれか3つを使っているという前提で考えていた。
 ケンウッドも2線でやっているのではないだろうか。この方式を全く知らなかったので、詳細を調べることから始めた。
 どうやらアイコムCI-Vが大元らしい。ヤエスがI/FにCI-Vを取り入れたのだろう。CI-Vの情報はたくさん見つかった。こんなに盛り上がっている(いた)のに、いままで知らなかったのが恥ずかしい。かなり古くから使われていて、パソコン側のI/FはRS232C。それをTTLレベルに変換して、TxとRxを直結して信号線としている。乱暴な使い方に見える。複数の機器を並列に接続できる。
 CI-VをUSB-UART変換で代替する回路が複数みつかった。さすがにTxRx直結ではない。エラー対策を解説した情報もあって勉強になった。複数の機器を接続して無線機は送受信しながら常時データ通信を行う、というような環境では複雑な回路にして対策するようだ。一方、パソコンと無線機を一対一でつなぐような場合は簡易な回路でも行けるようだ。

CI-V I/Fで成功

 その簡易な回路でやってみたが、初めは上手くいかなかった。エラー対策の解説を参考にして、最終的にはUART側のRxに入れる抵抗値を調整して通信に成功した。うれしかった。この抵抗、10kΩを使っている回路が多いのだが私の環境では動かなかった。4.7kΩとか抵抗なしも多く見る。抵抗値を変えて試みると、小さい抵抗値ではダメだったが、大きい22kΩや33kΩで動いた。UARTのRxと無線機のTxの特性によるものと思うが理由は不明。
 ダイオードはVfの小さいものが推奨されている。持っていた型番不明の小信号用ダイオード、テスターで測ったVfは4.5V程度のものを使った。

 試行の段階ではTxのダイオードとRxの抵抗だけで動いた。完成形では多くの情報を参考にして信号線に保護ダイオードと+3.3Vからのプルアップを入れておいた。プルアップ抵抗の値は参考資料から持ってきたもので、吟味はしていない。

完成

2025年4月
 4極プラグは私が持っていた汎用部品だとボディ部分が太くて入らない。百円ショップで買った、スマホ用のヘッドセットに使われているものが細くて使えた。